
お腹が大きくなるにつれて増えていく、体のつらさ
「腰や骨盤まわりが重だるい」「夕方になると足がむくむ」「寝返りが打ちにくくて眠りが浅い」。マタニティ期は、おなかの赤ちゃんが育つ喜びの一方で、体のあちこちに負担を感じやすい時期でもあります。当院にも同じお悩みの方が多く来られています。
「お薬は控えたいけれど、何かできることはないかな」「妊娠中に鍼灸を受けても大丈夫?」と迷っている方へ。この記事では、妊娠中の鍼灸の考え方と、安全面で大切にしていること、おうちでできるケアをお伝えします。
なぜマタニティ期に不調が起こりやすいの?
妊娠すると、赤ちゃんを守り育てるためにホルモンの分泌が大きく変化します。靭帯をゆるめるホルモンの働きで骨盤まわりが不安定になりやすく、おなかが大きくなるにつれて重心も前にずれ、腰や背中、太ももの付け根に負担がかかります。
また、血液量が増えることや、大きくなった子宮が下半身の血管を圧迫することで、足のむくみやだるさ、こむら返りが起こりやすくなるといわれています。ホルモンの変化と心身の緊張が重なって、自律神経のバランスも乱れやすく、眠りの浅さや気分のゆらぎを感じる方も少なくありません。
東洋医学では、妊娠中は赤ちゃんを養うために「血(けつ)」が使われ、体の巡りが滞りやすくなると考えます。そのため、無理をせず、体を温めて巡りを保つことが大切とされています。
ただし、出血、強いお腹の張りや痛み、破水のような症状、胎動が少ないといった変化がある場合は、鍼灸の前にすぐ産婦人科へ連絡してください。
なぜ鍼灸で楽になる方がいらっしゃるの?
鍼灸は、筋肉のこわばりをゆるめ、血の巡りを助け、自律神経のバランスを整えることをサポートします。妊娠中は強い刺激を避け、ごく細い鍼でやさしく触れるような刺激や、心地よい低温のお灸を中心に行います。
自律神経が“アクセル全開”の状態から“休むモード”に切り替わりやすくなると、体の緊張がほどけ、腰まわりのだるさがやわらいだり、寝つきが楽になったりする方もいらっしゃいます。「施術のあと、足が軽くなった」「ぐっすり眠れた」という声もいただきますが、感じ方には個人差があります。
また、妊娠中はお薬の使用に慎重になる方が多いため、体への負担が比較的少ない方法として鍼灸を選ばれる方もいます。ご不安な点は、遠慮なくお話しください。
当院での施術のながれ
まず、丁寧な問診を行います。妊娠週数、これまでの経過、主治医から言われていること、いまいちばん気になる症状などをゆっくりお伺いします。妊娠初期は体調が変わりやすく、流産のリスクが高い時期でもあるため、状況によっては施術を見合わせたり、主治医にご相談のうえで来院いただく場合があります。
施術は、リラックスできる楽な姿勢(横向きや、クッションを使った姿勢など)で行います。おなかへの刺激は避け、腰・背中・足など、負担のかかりやすい部位を中心に、やさしい鍼と低温のお灸でアプローチします。妊娠中に避けるべきとされるツボは使用しません。完全個室ですので、体調に合わせて休みながら受けていただけます。
通院の目安は、体調に合わせて2週間に1回ほど、症状が強い時期は週1回ほどから様子を見ながら進めるのが一般的です。無理のないペースをご相談しながら決めていきます。
おうちでできるセルフケア
【ツボ:内関(ないかん)】手首の内側、手首のしわから指3本分ひじ寄りにある、2本の腱の間のくぼみです。反対の手の親指で、気持ちいいと感じる程度の力でゆっくり5秒押して離す、を5回ほど。気分がすぐれない時や、気持ちを落ち着けたい時に試してみてください。強く押しすぎず、痛みや違和感があれば中止しましょう。
【生活習慣:抱きまくらを使った横向き寝】おなかが大きくなると仰向けは苦しくなりがちです。膝の間とおなかの下にクッションや抱きまくらをはさみ、楽な向きで横になると、腰や股関節への負担がやわらぎ、眠りやすくなる方もいらっしゃいます。向きや姿勢は、主治医の指示がある場合はそれに従ってください。
※セルフケアは体調に合わせて無理のない範囲で行ってください。症状が強い場合、長引く場合、急に悪化した場合は、まず産婦人科などの医療機関を受診しましょう。
よくいただくご質問
Q1. 鍼は痛くないですか?
当院ではごく細い鍼を使い、妊娠中は特にやさしい刺激で行います。ほとんど感じない方も多く、うとうとされる方もいます。刺激の強さは、遠慮なくお申し付けください。
Q2. 何回くらい通えばよいですか?
症状や妊娠の時期、体調によって個人差があります。目安として2週間に1回ほど、つらい時期は週1回ほどから始め、体の様子を見ながら調整します。出産が近づいてきた時期の通い方も、その都度ご相談ください。
Q3. 保険は使えますか?
当院の施術は原則として自費施術です。健康保険が使える場合は、病名や医師の同意など一定の条件がありますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
さいごに
妊娠中の体は、日々変化しています。「これくらい仕方ない」と我慢せず、やさしい鍼とお灸で、少しでも楽に過ごせる時間をつくっていただけたらと思います。まずはお気軽に、いまの体調をお聞かせください。
執筆・監修:榊原 義盛
はり師・きゅう師(国家資格)/明大前はり灸院 院長
臨床歴約10年。自律神経の不調と首肩腰の痛みを中心に、延べ1万名以上の施術を担当しています。
最終更新:2026年11月6日
■ 明大前はり灸院
住所:東京都世田谷区松原2-39-19-101
アクセス:京王線・井の頭線 明大前駅 徒歩2分
電話:03-6876-9177
Webご予約:https://kenkounihari.seirin.jp/clinic/14968/reserve
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