2022年6月1日作成 鍼灸師 榊原義盛

よくある生理不順の悩み

期間が長すぎる・短すぎる

周期が長すぎる・短すぎる

周期がバラバラで一定しない

稀発(きはつ)月経(期間が長すぎる)

 個人差がありますが、生理の一般的な周期は、25~38日間です。39日以上間があく長い周期を稀発(きはつ)月経と言います。原因は、卵巣の働きが不十分でホルモンが順調に分泌されていないことが考えられます。稀発(きはつ)月経でも排卵があれば妊娠・出産が可能ですが、無排卵周期になっている場合も多くみられます。1~2か月様子を見ても周期が長い状態が続くようであれば、婦人科を受診して血液検査でホルモンバランスの状態を調べたり基礎体温を測って排卵の有無を調べたりした方がいいでしょう。

頻発(ひんぱつ)月経(期間が短すぎる)

 生理周期が24日以下という短いサイクルになることを頻発(ひんぱつ)月経といいます。原因としては、卵巣の働きが落ちているのかストレスによるホルモン分泌の乱れが考えられます。また黄体ホルモンの分泌が不十分で排卵日から生理が始まるホルモンが不足すると子宮内膜が十分に成熟しないため妊娠しにくかったり妊娠しても流産が起こりやすくなったりすることもあります。妊娠・出産を望んでいる人は、早めに婦人科を受診しホルモン分泌の状態を調べてみた方がいいでしょう。

過長月経(期間が長すぎる)

 生理の期間がダラダラと8日以上続く状態を過長(かちょう)月経といい原因としてホルモンバランスの乱れや子宮の病気が考えられます。ホルモンバランスの乱れが原因の場合、視床下部、脳下垂体、卵巣など女性ホルモンの分泌に関係する器官になんらかのトラブルがあって無排卵周期になっている、または黄体ホルモンの分泌が不十分なために黄体機能不全になっている可能性があります。

過多月経

 出血量が増える。経血にレバー状の塊が混じる。生理痛がひどいなどの症状がみられる過多月経の時は、子宮筋腫子宮腺筋症子宮内膜炎子宮がんポリープなどの病気が原因になっていることもあるので要注意です。

過少月経と過短月経(期間が短い)

 経血量が極端に少なく、ナプキンの表面に経血がわずかにつく程度で終わってしまうような状態を過少月経と言い月経が2日以内で終わってしまう場合を過短月経と言います。

 これは女性ホルモンの分泌量が少ないため子宮内膜の厚みが薄いあるいは子宮自体の発育不全などのほか甲状腺機能異常が原因のこともあります。生理は来ても排卵のない無排卵月経になっている場合も多いので長い間放置すると不妊の原因にもなります。場合によっては、ホルモン剤などでの治療が必要なこともあります。

無月経(90日以上ない)

 90日以上月経が来ない場合は、無月経と言います。生理不順でも90日以上月経ない場合は、単に生理不順ではなくより要注意なタイプです。このような無月経の多くは排卵が起こらないでホルモンの機能が低下あるいは、ほとんど停止していることが多いです。この無月経の状態を長期間(7か月以上)放置しておくとホルモンの失調がますます強くなり頑固なホルモン異常(排卵障害)になります。無月経の期間が3か月以上続いたら受診するようにしましょう。

プレ更年期の生理不順

 卵巣の老化は、35歳ごろから少しずつ始まっています。更年期の前段階のプレ更年期(30代後半~40代ぐらい)で生理周期が乱れたり経血量が減ったりといった症状がある人は、閉経に向けての変化がすでに起こっているかもしれません。

 閉経は普通50歳前後ですから早くから更年期のような状態が始まると老化も早くなります。そのため不足する女性ホルモンを補う治療が必要な場合もあります。

生理不順の7つの原因

  1. 甲状腺異常
  2. 子宮内膜症または子宮腺筋症
  3. ストレス
  4. 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
  5. 体重の大きな変動
  6. 子宮筋腫または子宮ポリープ
  7. 子宮(子宮内膜)がん

甲状腺異常

 甲状腺はホルモンの重要な場所です。甲状腺が正しく働くことで食欲・活力・ストレスレベルなどが正常に保たれます。脳の中になる脳下垂体で作られたホルモンが甲状腺を刺激していてそれは卵巣を刺激するホルモンのすぐそばで作られていいます。甲状腺と卵巣を刺激するホルモンはすぐそばで作られているので、どちらかに異常があればもう片方にも影響をおよぼします

 内科医か産婦人科医にかかって甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症になっていないか血液検査をしてもらいます。もし生理不順の原因が甲状腺にあれば甲状腺の治療をします。甲状腺の異常が治れば生理不順も解消するでしょう。

子宮内膜症または子宮腺筋症

 子宮内膜症は、子宮内膜組織が子宮の外にも存在する場合に発症します。子宮の内側になり生理のたびに剥がれ落ちる子宮内膜細胞です。子宮から出て卵巣や腸など体内のほかの部分に移動します。その結果激痛や筋肉のけいれん、生理不順、不妊などの原因になります。  

 子宮腺筋症も生理不順の原因になることがあります。子宮内膜症ほど話題になりませんが、珍しい症状は子宮の筋肉の壁の外側でなく、内側で子宮内膜が発達することで引き起こされます。子宮腺筋症は、生理の症状を重くし痛みを伴います。40代から50代の女性に多い症状です。

 胃腸障害や頻尿、骨盤の痛みなど生理の症状に加えてほかの症状もある場合は、産婦人科医にかかり骨盤内診察か超音波検査をした方がいいでしょう。

ストレス

 ストレスをとても強く感じるとコルチゾールというホルモンが放出されます。正常な月経サイクルに必要な生殖ホルモンを作る能力が低下したり作るのが遅れたりします。ストレスを受けると生理痛が重くなります。2010年に発表された研究によるとストレスを受けるとむくみ、筋肉のけいれん、気分の波といった月経前症候群が悪化することが分かっています。

 1日のうちたった10分でもリラックスする時間を見つければストレスの発散効果があります。リラックスするために役立つことを何でもいいので行いましょう。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

 卵巣嚢腫は多く場合は害がなく自然に消えてしまいます。15歳から44歳の間の女性の最大10%程が、多嚢胞性卵巣症候群を発症します。これはホルモンのアンバランスがきっかけで卵巣に多くの小さな嚢腫ができるもので妊娠する力に影響がでます。

 多嚢胞性卵巣症候群にかかった女性はアンドロゲンという男性ホルモンが過剰になります。そうすると卵巣で女性ホルモンが十分に作らなくなり月経周期を正常に保ちにくくなります。

 生理不順、体毛の増加、血糖値の上昇、妊娠中のトラブルなど明らかな多嚢胞性卵巣症候群があったら産婦人科医にかかります。もし多嚢胞性卵巣症候群なら嚢腫が自然に消えるかどうか医師が経過観察します

体重の大きな変動

 体重が増えるにしても減るにしても体重の変化によって月経周期が乱れることがあります。たとえばかなりのやせ型であるリート体型だったり、BMI指数が低かったりすると排卵に必要な十分な量のエストロゲンが作られにくくなったりします。

 体重が大きく増えるとエストロゲンの量が大幅に上昇し、生理が来なかったり生理の症状が重くなったり月経周期が短くなったりします。

 適切な運動や健康的な食事を心がけしましょう。月経周期の安定化につながります。極端なダイエットや激しすぎる運動もまたは過食や運動不足も生理不順の原因となります。長い間安定して続けられる生活習慣を見つけることが大事です。

子宮筋腫または子宮ポリープ

 子宮筋腫とは、子宮の壁の中にある筋組織によってできた両性の腫瘍でとてもありふれたものです。がん化することはめったにありませんが腫瘍の場所によっては経血の増加や生理合間の不正出血の原因になることがあります。

 子宮ポリープは子宮内膜組織や子宮内膜にできる腫瘍です。通常は、良性ですが慎重に観察する必要があります。

 子宮筋腫や子宮ポリープが生理不順の原因かどうかを見極めるために産婦人科で腫瘍の超音波検査を受けます。

子宮(子宮内膜)がん

 子宮がん(子宮内膜がんとしても知られています)は、子宮内膜が増殖することで発生し不規則な間隔での出血につながります。

 女性なら誰しも子宮がんになる可能性がありますが最も多いのは45歳から74歳までの女性や閉経した女性です。高齢女性の場合は、排卵がすでに止まっているにもかかわらず不正出血が起こることがあります。若い女性の場合は、生理の症状が重くなったり生理の期間が長くなったり生理の合間に不正出血が起こることがあります。

 子宮内膜を検査するために病院で経膣超音波検査や生体組織検査を受けます。

生理不順を感じたら

 生理不順には、様々な原因や症状がありますがここにあげた症状に思い当たる場合や症状が長引くときは、一度婦人科で相談することをおすすめします。

 生理不順で婦人科を受診する際には、基礎体温表を持っていくようにします。産婦人科医が基礎体温の変化を見ればどの時期にどのホルモンが不足しているのかある程度推測することができるからです。

 治療の選択としてホルモン剤不足を補う西洋医学や自然治癒力を高める鍼灸治療があります。

生活の見直しも大事

 生理不順を感じたら自分の生活をきちんと見つめなおすことが大事です。急激に体重を減らすような間違ったダイエットはせずに1日3食バランスよく食べて十分な睡眠をとりましょう。

 生理不順の大敵であるストレスと上手に付きあうことも大切です。ヨガやアロマテラピー、瞑想法や太極拳などといった自律神経のコントロールにつながることを日常的に行い身体に優しい生活を心がけましょう。

参考HP

ソフィ
茶屋町レディースクリニック心斎橋
MYLOHAS

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